「原油高騰は仕方ない」 - 竹中平蔵と浜矩子の市場規制反対論
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雨の降る休日、気分は重たくて口を開くのも憂鬱だが、口を開かずに黙り込んでしまうと、自分も世界も結局は何も変わらない。悪くなる現実をただ押しつけられるだけで、ますます可能性を潰され、気分を塞がれて、自分の無力を呪い恨みながら無為に時間を過ごすだけになる。他にすることがないのなら、口ぐらい開きっぱなしにしておけよと、もう一人の自分が言い、億劫ながらその指示に従おうとする。頭の中のUMB(Upper Memory Block)では3日前からずっとピンク・フロイドの「吹けよ風」が常駐して流れている。UMBをconfig.sysで定義してFEPのATOKを動かす主記憶の常駐領域を確保していたよね。edlinを使って。ピンク・フロイドはいい。内なるBGMとして最高だ。知性に欲望と衝動があることをピンク・フロイドは教えてくれる。萎えて落ち込む精神と立ち上がろうとする意思の境界をピンク・フロイドの「吹けよ風」が流れて、欲望と衝動の実相を教えてくれる。

週末のテレビ番組を見ていると、竹中平蔵が出てきて、原油高騰と食糧高騰の経済危機をどうすればいいのかという質問に対して、「輸入品が上がるのだから、100円のものが200円になるのは仕方がない。日本の国民はこの現実を受け入れなくてはいけない」と言っていた。他には何も言わなかった。具体的な政策論でこの危機に対策する処方箋を示すというようなエコノミストの発言は一切なかった。政府も日銀も何もしなくてよいということである。番組の映像では、イカ釣り漁船とトラック運送業者の事例が出て、石油が値上がりして事業の採算が合わなくなり、操業や経営ができなくなっている現実が紹介されていた。漁師や運送業者の悲鳴は他の報道番組でも毎晩のように放送されている。だが、日本のマスコミはただその現実を視聴者に見せるだけで、資源高騰の打撃を受けて瀕死になっている経済弱者の姿を横目で見ているだけで、政治や政府に対して何も要求しようとしない。

竹中平蔵は、この現実は仕方のないことだから諦めて受け入れろと国民に言った。目の前に官房長官の町村信孝がいるのに、政府の政策責任者を前にして政府は何も手を打つ必要はないと言って簡単に終わった。これがフジテレビのメッセージであり、新自由主義の政治宣伝である。隣に座っていた浜矩子は、竹中平蔵に反論するかと期待して見ていたら、何と竹中平蔵の新自由主義の折伏にあっさり同調して、投機マネーの原油市場流入を規制するのは統制経済に繋がるから止めておけと言っていた。フジテレビと経団連に買収されて変節したのか。これから魚の価格が上がる。われわれはイカもマグロも口にすることはできなくなるが、数億円の年収を手に入れて住民税も払わない竹中平蔵は食い続けられる。浜矩子も。富裕な新自由主義者にとっては、原油高騰も食糧高騰も何も生活への影響はないのだ。貧しい庶民が増えてさらに貧しくなるだけで、それは新自由主義者にとっての理想社会なのである。

日本では、ここまで危機が深刻化しても、竹中平蔵がレッセフェールの「無策」と「放置」を推奨するエバンジェリズムを展開して平然としているが、新自由主義の本家の米国では、投機マネーに対する規制への動きが目に見えて始まっている。コネチカット州選出の上院議員のリーバーマンが原油先物市場での投機抑制を目的とした法案提出を準備中と報じられ、また米商品先物取引委員会(CFTC)が、年金基金が活用しているインデックスファンドの原油売買動向を監視するため、金融機関に取引実態を報告させる監視強化策を発表して注目を集めた。米国の議会と政府でさえ異常な原油高騰に市場規制で対処しようとしている。原油市場に流入して資金の70%が投機マネーであり、原油価格高騰の主因が投機マネーの活動である事実が明らかな以上、これに規制をかけるのは米国の国民生活を守る上で必須であるという世論が高まり、徐々に政治を動かし始めている。新自由主義の説教と「仕方ない」の諦めで済まされる日本とは対照的だ。

日本はどうすればよいのか。二つある。第一に円の金利を直ちに上げることである。第二に原油と穀物への投機を規制するよう米国政府に求める首相声明を発表し、サミット議長国のリーダーシップで洞爺湖G8首脳会合において投機規制を決議することである。総量規制をさせるのだ。まず金利政策だが、原油市場に投下されている投機マネーの四分の一がゼロ金利で調達された円である金融事実が明らかになっている。日銀が金利を引き上げれば、世界の金融資本に衝撃が走り、マネーの動きは弛緩から収縮に一転することだろう。金利を上げて、国際金融の円キャリーを止めた場合のリスク(資金を海外に貸し出している日本の金融機関のインパクト)、あるいは金利が上がることで日本の実体経済を支える企業経営に及ぼすリスクについてはここでは捨象している。専門家による議論が出るのを待ちたいが、私は専門外の人間として、例えば円の管理金利制(二重金利制)という発想はできないものかと考えている。国内の企業に対しては低く、海外の金融資本に対しては高く。

二つ目のサミットでの「総量規制」の提案と決議だが、ブログの読者は思い出して欲しいが、日本のバブル経済を崩壊させたのは、その直接の引き金となったのは、あの土地取引融資の総量規制だった。同じ規制を連邦政府がNYMEXに適用すればよい。そして原油バブルを止めるにはそれしかない。「新興国の需要増」の言説がまかり通っている間は簡単にはバブルは弾けない。投機を放置すれば高騰はさらに続く。市場原理ではなく国家権力が市場に強制的に介入して価格を調整するしかない。これは規制であり統制である。統制することで一握りの新自由主義者を除く全ての世界の人々の生活が救済される。企業経営と国民経済が破滅の危機を回避できる。それなら統制すればいい。市場のために世界の人々の生活が犠牲になるのは本末転倒した経済であって、市場は世界の人々に福利をもたらすためにこそ存在しなければならない。需要と供給で価格が決定するのが市場の本来の姿であり、市場の本来性を媒介するのが市民政府の権力である。原油市場を純粋な需要と供給が均衡するシステムに戻すこと。

今日が6月29日、あと一週間で洞爺湖サミットが始まる。先週末(6/27)のNY証券市場(Dow)が大幅安で取引終了になっていて、私はこの点に注目している。今週(6/30-7/4)の東京証券市場(NIKKEI)は株価暴落で始まる。これから一週間、おそらく相場は大きな下げが続くだろう。これは米金融資本がサミットに向けて「世界同時株安」を演出するのであり、つまり世界不況の不安を煽って、G8が原油の市場規制に動かないように釘を刺すのである。商品市場無規制の政策を導引するために、意図的な株価操作が行われるのだ。市場規制はバブル崩壊に繋がり、バブル崩壊は実体経済への打撃(世界不況)に直結するぞと、そういう脅しを打つのである。実際に、日本経済のバブル崩壊のように、金融バブル崩壊が実体経済の破壊に繋がってしまう可能性は十分にある。そこにも政策の手を打たなければ、金融資本は企業と市民を犠牲にして、実体経済と国家予算から収奪してバブル崩壊の損失を穴埋め軟着陸しようとする。みずほや三井住友のように生き残る。

市民政府をつくるしかない。資金の流れを変え、円を海外に流出させず国内の実体経済に向け、労働者の家計と中小企業の経営と農林水産業者の生産活動に資金を潤沢に流し込む政策が必要であり、その政策を実行する市民政府を樹立するしかない。経済政策から新自由主義者を排除するしかない。