胡錦濤訪日を妨害する右翼 − 東シナ海ガス田問題と靖国問題

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この季節、北京では空から柳絮が降って舞う。7年前に訪れたときも毎日降り落ちていた。漢文の授業で習ったとおり、雪が舞っているように見える。本当なら情緒豊かな春の風物詩なのだけれど、中国の都市の空気は排ガスで極端に汚く、その上に黄砂の粉塵が夥しく飛散していて、排気ガスと黄砂で白く染まった空気の中を白い大粒の柳絮が飛散していた。空気中に三つの異物が混ざっている感じだった。中国の都市で外の空気の中に身を置いていると一日で喉がおかしくなる。車の排気ガスの濃度が異常に高い。そして黄砂が鼻や耳の孔に入り、髪の毛に付着して不快な気分になる。顔が汚れる。鼻腔と咽喉が不具合で苦しい。日が経つうちに徐々に慣れてくるが、逆に早く日本に戻りたい気持ちも高まってくる。きれいな空気ときれいな水のある日本が無性に恋しくなる。それでも、7年前はテレビで見る今よりはまだ大気汚染の程度は軽かった。今は本当に真っ白だ。

中国は現在、黄金週の真っ最中である。労働節の5月1日から一週間が休みになる。1999年から制度が導入された。「黄金週」。言うまでもなく日本の「ゴールデンウィーク」がモデルとなったものだ。日本のシステムが採り入れられて生きている。戦後日本が中国の中で生きている。と、私は思って感動を覚えるが、マスコミの反中プロパガンダで洗脳された多くの日本人はそのような感動を覚えることはないだろうか。この制度を名前ごと導入した中国政府の幹部たちが日本をどう見ていたががよく伝わる。遣日使が幹部になった中国政府。日中関係はこういう状態がずっと続くべきだった。もし小渕政権の後が森政権でなく野中政権だったなら、その後に加藤政権や田中政権が続くマイルドな日本であったなら、中国大陸を走る高速鉄道は日本の新幹線の規格で早い時期に決定されて、今頃は北京と上海の間を日本と同じ型の新幹線が走っていただろう。東シナ海ガス田は共同開発で順調に採掘が始まっていた。

今週の『サンデープロジェクト』では、田原総一朗が岡本行夫を連れて北京の中央電視台に乗り込んで中国を悪辣に挑発する反中プロパガンダを放送していた。中国側が田原総一朗をうやうやしくもてなす理由はわからないでもない。公明党あたりがブリッジになっている見方もできる。しかし、中国側に忠告しておきたいが、田原総一朗と癒着するのはやめた方がいい。日本国民に反中プロパガンダをシャワーしている実行犯の一人であり、偏向し歪曲した中国報道を仕切っている親玉の一人だ。中国の利益にならない。番組の中で岡本行夫は、「チベットは1945年まで独立国だった」と言っていた。この発言に驚いたが、岡本行夫は元外務省の人間で橋本内閣と小泉内閣で首相補佐官を務めた高官である。日本政府の幹部OBの肩書で仕事をしている人間がこの発言はどうだろうか。国際法のプロの人間で、田中優子のような民間でアマチュアの人間とは立場が違う。「1945年まで独立国だった」という歴史認識の中身も意味不明である。

1945年に中華民国がチベットの独立を奪ったと言うつもりなのか。岡本行夫の発言の中で最も気になったのは、3年前の中国の反日デモの問題に触れて、「小泉さんは戦死者を純粋に慰霊する気持ちで参拝した」のだと言って首相の靖国参拝を正当化した点である。これは真っ赤な嘘だ。小泉純一郎は総理大臣になるまで一度も靖国参拝など行っていない。小泉純一郎が靖国を参拝したのは、それが総裁選前の日本遺族会(対抗馬の橋本龍太郎の票田だった)に対する選挙公約だったからと、その「魔法の杖」の効力に気づいたアーミテージが、日本と中国との間に楔を打ち、日中友好を破壊して東アジアを冷戦環境にするために、米軍再編とMDのために、小泉純一郎に何度も炊き付けて行わせた政治であるに過ぎない。「純粋に戦死者を慰霊する気持ち」など冗談じゃない。だが、よく考えれば、この岡本行夫の靖国参拝正当化の弁は、現在でも日本政府の公式見解として生きているもので、政府の外交政策実績として既成事実になっているものだ。

今度の胡錦濤国家主席訪日の際には、日本政府は歴史の反省は言わず、首脳会談で歴史認識の問題も議題にしないらしいが、いつかどこかの時点で、この靖国参拝正当化の欺瞞の政府見解を覆して否定しなければならない。「靖国神社は軍国主義の精神的支柱だった」とする野中広務や渡辺恒雄の正論の主張を政府の公式見解に据えて、総理大臣による靖国神社参拝の過誤を反省する宣言を立てなければならない。それを内外(中国・韓国・米国議会)に発表しなければならない。その上で、A級戦犯分詞や国立追悼施設について具体的な政策化を図る必要がある。毒ギョーザ問題も東シナ海ガス田問題も、それが両国間で解決しない根底には靖国問題がある。毒ギョーザ事件で、中国側があるとき掌を返したように公安当局発表を出して、中国側には何の原因も責任もないと卓袱台をひっくり返したのは、その裏に東シナ海ガス田問題の交渉があったからだ。卓袱台をひっくり返したのである。東シナ海ガス田問題の交渉打ち切りの意思表明を示したのだ。中国側の外交術策だ。

ということは、実はいいところまで交渉を詰めて中国側を追い込んでいたのである。国際司法裁判所の提訴に持ち込めば日本側の境界線主張が認められる公算が高い。交渉妥結のためには中国側の譲歩が必要で、また東シナ海ガス田問題の決着こそが胡錦濤主席訪日の第一の目標であり、この交渉が長引いていたために訪日の日程が4月から5月に延びていたのである。結局、毒ギョーザ問題で中国が卓袱台をひっくり返して強硬態度を見せつけ、東シナ海ガス田問題まで影響が及んで交渉妥結がご破算となった。中国側の目的は東シナ海ガス田問題の交渉を白紙に戻すことで、そのために毒ギョーザ事件を使ったのである。原油や石炭のエネルギー資源が高騰して、それだけ東シナ海ガス田の国家的価値が中国にとって高まったのであり、日中関係改善を放棄するリスクを賭けても、東シナ海の天然ガス資源を確保する判断をしたのだ。これを決定したのは国務院外交部ではなく、恐らく党中央政治局常任委員会である。東シナ海ガス田問題の解決を先送りして、中国側の(実効支配と単独掘削の)既成事実を固める作戦に出た。

東シナ海ガス田の地下資源を日本が手にするためには、中国と交渉して妥結するか、軍事力に訴える以外にない。日本国憲法は武力による国際紛争の解決を禁止していて、したがって中国と話し合いで問題を決着させるしかない。どうすれば話し合いで中国を妥協させられるか。エネルギー資源のない工業国であり加工貿易立国である中国と日本。両国どちらにとっても石油の一滴は血の一滴である。私は日本が決断するしかないと思う。歴史認識問題で譲歩をするのだ。靖国神社からのA級戦犯分祀、もしくは思いきって石橋湛山的な靖国神社の解体毀棄。それ以外にない。正論(日中共同声明)の立場からすれば一石二鳥。靖国問題を解決して東シナ海ガス田問題も解決する。A級戦犯分祀なら天然ガス資源は40/60で日本、靖国神社の解体毀棄で天然ガス資源は25/75で日本。こうなるだろう。もし靖国神社を維持してA級戦犯合祀を続けたままなら、天然ガス資源は100/0で中国のものとなる。ガス資源を取るためには憲法を改正して武力に訴えなくてはいけないことになる。今、日本に必要なのは、日中の歴史認識の問題を解決して天然ガス資源を手にする政策と政権だ。

護憲派の読者たちに言いたいが、9条を守るためには中国と韓国の人々と広く共同戦線を作る必要があるとは思わないか。外国の人々の中で誰が本当に9条を守る動機を持っているのか。抽象的な平和主義の連呼や合唱ではなく、自分自身の生存と安全保障の問題として、緊張して日本の9条改憲問題を注目している人々はどこにいるのか。日本の侵略戦争の被害国の人々こそがそうではないのか。チベットの人々は、チベット亡命自治政府の人々は、彼らは憲法9条を守るべく声を上げてくれるのか。欧米と日本のメディアによれば、彼らこそが至上の平和主義者であり、ダライ・ラマ14世は平和の化身の仏教指導者なのだそうだが、安倍晋三や稲田朋美と緊密に連携している彼らが、本当に憲法9条を守るべく動いてくれることを期待できるだろうか。9条の問題は世界政治の重要問題であり、特に東アジアの安全保障において決定的に重要な問題だ。中国や韓国の反日感情を反日ではなくて反靖国・反日本右翼へと転轍させる必要がある。そして三国の市民が一つの方向で結集する必要がある。日本右翼を包囲しなければならない。そのためには日本のマスコミの反韓反中プロパガンダを暴露することだ。

長野で敗北した日本右翼の胡錦濤主席訪日妨害活動の勢いは凄まじい。2ちゃんねる掲示板では、ありとあらゆるスレッドに唐招提寺と法隆寺の電話番号がコピペされ、電話で抗議するようにネット右翼が扇動している。電話抗議の問答マニュアルまで用意され、唐招提寺と法隆寺に胡錦濤主席の訪問行事を辞退させるように圧力をかけている。長野の善光寺に圧力をかけて転向させた「成功」で味をしめた右翼が、寺は組みやすしと唐招提寺と法隆寺に狙いを絞って攻撃をかけているのである。